2004年2月16日月曜日

「現代と宗教」 音更町 報徳寺 佐藤 誠

 現代を生きる私たちを取り巻く環境は大なり小なり「不安」という問題と向き合わせではないでしょうか?

 少子高齢化、倒産・リストラ・長引く不況、戦争・テロの問題、日本国経済の危機的状況、給与・ボーナス・年金のカット等々、問題は山積しています。

 日本人の一年間の自殺者の数が三万人を超え、中高年の「うつ病」、年間、心療内科に通う人が多いと聞きます。

 作家の五木寛之さんは、「不安」の中に生きていることは、取りもなおさず、「生きているという証[あか]しなのです。」と説かれ、その不安から何とかしなくては‥‥とエネルギーに変わって行く生き方‥‥そして至り届いた境地が「不安」から逃げるのではなく、不安と共に生きようという生き方でありました。

 NHKスペシャルで、以前このような番組が放映されました。沖縄県の小さな島で、子だくさんの家庭に赤ちゃんが生まれ、そのことを地域を挙げて慶[よろこ]び、その家庭にとりたての野菜を届ける、心の温もり地域共同体。
 また、「世界遺産の白川郷」の、八十数年ぶりの、合掌造りの屋根の修復・葺き替えを思い立ったおうちに対する「結[ゆ]いの精神」。

 先祖、多くの人たちへの感謝の精神‥‥。

 日本人が失いかけている、これらの精神が、21世紀に生きる私たちの道しるべではないでしょうか。

 私どもの宗門の御門主さまは、「時代はいかように変わろうとも、お念仏の「み教え」は有り難く変わりません。お念仏は、私たちがともに人間の苦悩を担い、困難な時代の諸問題に立ち向かおうとする時、いよいよその真実をあらわします。」‥‥という旨、ご教示くださったことであります。

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