2006年8月1日火曜日

「ろうあ者に学ぶ」 新得町 立教寺 千葉玄昭

 私の住んでいる新得町には、授産施設や、老人ホームなど、聴覚障害者の人たちが約200名生活しておられます。この人たちとお話しする時は、私たち健聴者が話す言葉では通じません。「手話」を使って初めて言いたいことが伝えられます。約30年間、この人たちに手話を習い、どうにか、こっちの言いたいことが伝えられるようになりましたが、まだまだ勉強不足で、十分に意図するところを伝えることが難しく苦悩しております。

 例えば、教行信証[きょうぎょうしんしょう]、親鸞聖人[しんらんしょうにん]、蓮如上人[れんにょしょうにん]、信心[しんじん]、他力廻向[たりきえこう]と言っても、チンプンカンプン、ごく一般的な仏教を説くのに精一杯です。

 でも人情厚く、とても笑顔の多い人たちです。私が訪問すると、手を合わせ木魚を打つ仕草をして、仏さまのお守りをする人、仏さまにお参りをする人として、笑顔で迎え手を差し出されます。私は一人一人の手を、しっかり握り、また時には、「ホホズリ」などもして、「元気かね?」「具合の悪いところはないかネ?」と尋ねます。「大丈夫、元気だよ」との返事が返ってくると一安心です。

 広島・福岡・京都・新得と、全国にこうしたろうあ者専用の老人ホームが4ヵ所あります。施設入所者の交流会というのが、毎年開催されており、一昨年は新得で、昨年は広島で、私も参加させて頂きました。

 広島の「あすらや荘」の理事長は、酒井慈玄氏、同じ宗内(浄土真宗)の方で、龍谷大学(京都)の後輩ですが、この道では大先輩、新得の「やすらぎ荘」建設の時もいろいろとお世話になり、指導もして頂きました。

 手話の学習を続けているお陰で、「帯広グルッペ」「手と手」その他、音更、芽室等の友だちも出来ました。有難いことです。

 自分から頼まなくても、向こうから見守っていてくださる仏さま、如来さまの懐[ふところ]に抱[いだ]かれている毎日であることを、この人たちにも伝えるべく一生懸命努力しているつもりですが、どこまで理解して頂けたか? 如何にも「手話」は奥深く、また、ろうあ者の心底まで入りこむこおてゃ本当に難しいと感じています。

 お盆ですネ。私たちの先祖にも、こうした、言葉のない人がいたかも知れません。たとえ言葉がなくても、手で、心で、顔で、態度で念仏の教えは伝わるものと確信しています。

 信じ合えるところに、幸せが待っていてくれると思います。

 テレホン法話をお聞きいただき、有難うございました。

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